FA権に関する情報【2023年】
14日、FA権の行使に関する書類の提出が締切となり、埼玉西武ライオンズからは2選手がFA宣言を発表した。
入団7年目の平井 克典投手は、主に中継ぎとして長く投手陣を支えてきた。また、ベテランとして若手とのコミュニケーションを多く図り、リードしてきた功労者だ。19年には81試合に登板。鉄腕としてファンからの信頼も厚い。
しかし、9日に球団事務所にて会見を開き、FA権の行使を発表した。平井投手からのコメントは以下の通り。
「FA権を行使した背景は、時間をかけてもっとライオンズと話をさせていただきたいという思いからです。
自分の気持ちをライオンズに伝え、しっかりお考えを伺ったうえで、来季に向け準備の時間にあてるための宣言です。
ライオンズに育ててもらい、リーグ優勝という素晴らしい経験もさせていただきました。
かけがえのない仲間もたくさんいますし、先輩や後輩たちとまだまだ一緒にプレーしたいです。」
時間をかけて西武球団と話したいという意図でのFA宣言。基本的に残留を最優先に考え、現時点での他球団との交渉は考えていないとの事だ。今後も球団と交渉を進め、そう長く時間はかからないと思われる。
社会人を経て16年にドラフト指名。現在31歳。
長きに渡りブルペンを支えてきた。チームの事情を最優先とし、先発と中継ぎの兼用もこなしてきた鉄腕は、チームからもファンからも信頼は厚い。
23年には通算100ホールドを達成した。
年齢を踏まえて、現在他球団からの獲得調査の報道は無いが、怪我をしない体、そしてサイドスローから投げ込むキレのあるスライダーは魅力。
入団10年目だった山川 穂高選手もFA行使最終日の14日にFA宣言を発表した。
球界1番と言っても過言ではないアーチストヒッター。3回の本塁打王受賞や、打点王受賞・年間最優秀選手受賞などその実績は十分で、FA宣言をすれば大規模な契約になるという見方が昨年から噂されてきた。
しかし、10年目の今季は、昨年オフにあった人間関係のトラブルの影響で、球団が無期限の出場停止の措置を発表。僅か17試合の出場にとどまり、自慢のホームランも0に終わった。
それらを踏まえ、球団も現在の年俸2億7000万(推定)からの減俸での単年契約を提示した。本人も自分の行動を反省し、FA権に関して慎重に考え、熟考していたが、最終的には宣言に至った。コメントは以下の通り。
「この度、私が取得させて頂いたFA権の行使について、皆様にお伝えさせて頂きます。
結論を先に申し上げますと、今回、FA宣言をさせて頂くことを決断致しました。
皆様に多大なる不快な気持ち、不信感を生んでしまった一連の出来事を通じて、ただ野球をするということだけではなく、関係する全てのことを、自分ひとりで考え、また、家族と考えさせて頂きました。
野球から離れることだけではなく、社会から離れることまでも考えました。
それでも、私の心から消えずに残り続けたことは、野球がやりたい、野球をさせて頂きたいという答えでした。
プロ野球選手として恥ずべきことですが、ここまでの気持ちになったのは、これまでの野球人生で初めてのことです。
この私の意志を受け入れて頂けることがあるならば、ライオンズに居続けることが、ファンの皆様、球団の皆様に対する感謝の形、謝罪の形、誠意であるということも考えています。
同時に、FA宣言が持つ、選手の権利として定められた制度という理解を超え、これまで聞くことがなかった声をお聞かせ頂くことで、自分自身を戒めることとなるのではないかとも考えました。
FA宣言により西武ライオンズ以外の球団の考えを聞いた上で、残留か移籍の判断をさせて頂くことは、新たな野球人生へと歩ませて頂きたいという、私の一方的な願い、自分本位な意思のように聞こえてしまうであろうことも、重々承知しております。
それでも、私が宣言させて頂くことで、何より、私自身のこれからの野球人生に対して、重い責任を持ち続けることの覚悟であることを、どうか少しでもご理解いただけたら幸いです。
結びになりますが、ご伝達が遅れましたことにつきまして、誠に申し訳ございませんでした。
お待ちいただき、また、ご心配いただきましたこと、心より感謝申し上げます。」
現時点でソフトバンク、中日が獲得調査・交渉へ臨むものと思われる。他球団は慎重にトラブルに関して親会社などと協議しながら、交渉の有無を判断する。西武も宣言残留を認めているが、提示額の変更は考えておらず、条件面では厳しいと考えられる。
球界随一のホームランバッター。本塁打の技術は群を抜いて高い。
また、チームを鼓舞するムードメーカー、若手の指導にも入念な後輩思いな性格から、他の選手からの信頼も厚い。
しかし、週刊誌で報道された人間関係のトラブルなどにより23年は出場が激減。その期間、練習に参加していた3軍野手への指導がフェニックスリーグの優勝に活きたと言えるだろう。
これまでの実績は並一通りではないだけに、球界の視線も集まる。
今後は、15日にNPBからFA権を行使した選手が公示され、翌16日より所属球団含めた12球団との交渉が可能となる。